Periodontics

歯周病治療

歯周病の原因を知り
予防を目指す治療

歯周病治療

日本人が歯をなくす1番の原因は……歯周病! 日本人の50%近くが歯周病で歯を失っているのです。歯周病とは「歯の土台が菌によって破壊され、歯を失う感染症」です。歯周病が進行すると、歯茎も衰えて、周辺の健康な歯にまで悪影響を与えてしまいます。口の中が取り返しのつかない状態になる前に、定期的な検診で、早期発見・早期治療を心掛けましょう。

歯周病治療について

歯周病の原因とは

歯周病の主な原因は、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の塊です。プラークは、嫌気性細菌のため歯と歯肉の間の酸素が少ない場所に潜んでいます。このプラーク中の細菌が生み出す毒素が、歯肉に炎症を引き起こし、歯肉炎や歯周炎などの歯周病につながるのです。

歯周病治療の基本はプラークコントロール

歯周病治療の基本は、プラークをコントロールすることです。つまり、歯に歯垢がたまらないようにすることが目的となります。正しい歯磨きは基本ですが、それだけでは不十分です。歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間のプラークを取り除くことが大切です。さらに、歯科医院で定期的な検診とクリーニングを受けることで、患者様ご自身ではどうしても取り除けないプラークを確実に除去できます。

歯周病の進行度

  1. Flow01

    歯周病 初期 (歯肉炎)

    赤く腫れる、出血する、などの症状が見られる様になります。歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)が3mm以内で、ほとんどが完治します。軽度歯周病では、プラーク(歯垢、歯苔)や歯石がたまり歯茎に炎症が起こり、この状態が進むと、中程度歯周病になります。

  2. Flow02

    歯周病 中期(歯槽膿漏)

    歯が前後左右にグラグラする、膿が出て口臭がひどくなる、などの症状が見られる様になります。歯周ポケットが4mm~7mmに広がり、歯槽骨(アゴの骨)の破壊が始まった状態。 歯や歯の根元には、多量のプラークや歯石が付着しています。

  3. Flow03

    歯周病 末期(歯槽膿漏)

    歯が上下にグラグラ揺れて、痛くて物が噛めないようになります。 ポケットが6mm~8mm以上で、歯槽骨(アゴの骨)の破壊がかなり進んでいて、歯が支えを失った状態。 歯肉が腫れて痛み、最後には抜けてしまいます。

歯周病と全身疾患

全身に広がる歯周病の影響

歯周病は全身疾患を引き起こすリスクを高めます。歯ぐきの毛細血管などから体内に侵入し、強い毒素を放出しながら全身を巡ります。結果的に、動脈硬化に伴う心筋梗塞などの心臓病、糖尿病の発症や進行の原因にもなりえます。また、妊娠中の場合は子宮の収縮を強めて早産や低体重児出産のリスクを高めると言われています。

歯周病と関係性が深いとされる全身疾患

  • 糖尿病

    歯周病は、全身の健康状態とも密接に関係しています。特に、糖尿病との関連性が注目されています。歯周病による炎症反応で生じた物質や細菌の毒素が血液中に入り込み、インスリンの働きを妨げることで、糖尿病を悪化させる可能性があるのです。歯周病の予防と治療は、糖尿病管理の面からも重要だと言えます。

  • 誤嚥性肺炎

    高齢者は、飲み込む力が弱くなるため、口の中の細菌が肺に入りやすくなります。歯周病の治療と口腔ケアで口の中の細菌を減らすことで、誤嚥しても肺炎になるリスクを下げることができるのです。

  • 心筋梗塞・脳梗塞

    以前は、動脈硬化の原因は主に遺伝や生活習慣によるものと考えられていました。しかし最近の研究で、重症の歯周病があると、歯周病菌や炎症を引き起こす物質が血管を詰まらせることがわかってきました。歯周病の予防と治療は、心筋梗塞や脳梗塞の予防にもつながるのです。

  • 低体重児出産

    歯周病菌による刺激で産生される物質が、子宮の収縮を引き起こし、早産や低体重児出産につながる可能性があるのです。安全なお産のためにも、妊娠中の歯周病対策は欠かせません。

歯周病を予防するには

歯面清掃(PMTC)

PMTCとは、歯科医師や歯科衛生士による徹底的な歯面清掃のことです。
専用の機器とフッ化物入り研磨剤を用いて、歯と歯の間の歯垢や歯ブラシでは取り除けない歯石を確実に除去し、歯の表面を滑らかに研磨します。PMTCを定期的に受けることで、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らすことができるのです。

スケーリング・ルートプレーニング

スケーリングは、歯の表面に付着した歯石を専用の器具で取り除く治療です。
一方、ルートプレーニングは、歯肉の内側(歯周ポケット)に潜む歯石を取り除くための治療です。スケーリングよりも時間がかかり、複数回の治療が必要になることもあります。
スケーリングとルートプレーニングを組み合わせることで、歯周病の進行を食い止め、健康な歯肉環境を取り戻すことができます。

SPT

SPT(Supportive Periodontal Therapy)は、歯周病が安定した状態を維持するための定期的な治療です。一方、メインテナンスは、治癒した歯周組織を長期的に健康に保つための管理を指します。SPTとメインテナンスを継続的に行うことで、歯周病の再発を防ぎ、健康な口腔環境を維持できるのです。

ブラッシング指導(TBI)

正しい歯磨きの方法を身につけることは、虫歯や歯周病の予防に欠かせません。しかし、多くの方が適切な歯磨きができていないのが現状です。当院では、歯科医師や歯科衛生士によるブラッシング指導(TBI: Tooth Brushing Instruction)を行っています。患者様の磨き残しや癖を確認し、適切な歯磨きの方法をアドバイスすることで、セルフケアの質を向上させ、口腔内のトラブルを未然に防ぐことができるのです。